教授・世界共生学部長
鈴木 茂
Shigeru SUZUKI
- 専門:
- 歴史学(ブラジル史)、ラテンアメリカ地域研究
2019年3月まで37年間、東京外国語大学でブラジルの歴史や社会について研究・教育に携わっていました。2019年4月に名古屋外国語大学に移り、2022年4月から世界共生学部の学部長を務めています。前任校で高校の世界史教員の皆さんと意見交換する機会をもったことから、現在は日本学術会議の連携会員などとして、学外で歴史教育の高大接続の仕事もしています。
メッセージ
一つの判断基準で他者と比較したり、順位づけをしたりすることが、いかに無意味であるかを理解してほしい。互いの違いを認め合い、一人一人には独自の価値があり、比較可能なものは人間のほんの表面的な部分だけだということを学んでほしい。自分より「強い」他者の目を気にし、気に入られようとする窮屈な思いから解放されてほしい。多文化共生を学ぶ意味は、自分らしく生きることにもつながります。
グローバル共生学科ならではの学びとは?
専任教員が10人ほどの小所帯の学科で、教員間の協力体制が整っています。外国語大学としての本学の英語の学びの中でも、多文化共生という専門分野と連携して運営されている点は、本学科の際立った特徴です。また、学生の持つ多様なルーツを尊重し、グローバル化する日本社会を先取りした環境の中で学ぶことができます。
専門分野
歴史学とブラジル・ラテンアメリカ地域研究。
大学院の頃からブラジルの奴隷制について研究してきましたが、2000年代前後からブラジルの黒人運動と多文化主義政策、特に大学入学や雇用などにおける積極的差別是正政策(アファーマティブ・アクション)について学んできました。また、近年は、他大学の研究者と一緒に奴隷制・強制労働をテーマとする研究プロジェクトに参加し、大西洋の奴隷貿易やブラジルとアフリカとの歴史的関係についても勉強を続けています。
学科で教えていること
本学科では、講義科目としてエリアスタディーズ応用E(北アメリカ/中央・南アメリカ)でラテンアメリカの歴史と社会を教えています。他に、「世界理解の方法」「日本理解の方法」で、ラテンアメリカやラテンアメリカ出身の人々に関連する講義を担当しています。
担当科目
- エリアスタディーズ応用E(北アメリカ/中央・南アメリカ)
- 世界理解の方法
- 日本理解の方法
- グローバル共生ゼミナールⅠ~Ⅳ
担当するゼミのテーマ
名古屋外国語大学唯一のブラジル・ラテンアメリカ研究を専門とする教員であることから、ゼミのテーマとして「ブラジル・ラテンアメリカ研究」を謳っていますが、ブラジルやラテンアメリカに最初から関心をもってゼミを志望してくる学生は少数です。専門は黒人奴隷制度や人種差別で、ゼミでは日本も含めた差別・偏見について広く学んでいます。
主な学術論文
- 「『黒い積み荷』の往還ー奴隷貿易から見る大西洋世界ー」歴史学研究会編 『史料から考える 世界史20講』岩波書店、2014年
主な著書
- 山田睦男・鈴木茂『ブラジル史』山川出版社、2022年
最も影響を受けた場所
ブラジル
20代半ばから30代初めにかけて、2回に分けて合計3年余りブラジルのサンパウロの大学に通いました。大学内外のさまざまな人との出会いから、ブラジル研究の道に進むことを決意し、今日まで続けることができました。「世界で一番遠いところに行ってみたい」という素朴な思いつきから、思いがけない宝物の発見につながりました。
思い通りの大学に入り、思い通りの職業につける幸福な人もいるでしょうが、私にとってのブラジル研究は偶然の産物です。しかし、重要なのは、偶然が必然に変わる過程です。そこにさまざまな人々との出会いがありました。