准教授

堀部 純子

Junko HORIBE

専門:
国際安全保障: 核不拡散、核セキュリティ

米国の大学院で核不拡散を学び、国連本部でインターンを経験。その後、ジュネーブ、ウィーンにある政府機関や国際機関(国際原子力機関)などで、核軍縮・不拡散、核テロ防止に関する業務に従事。様々な文化を学べる多国間外交や職場での実務経験を活かして2017年から名古屋外国語大学で教えています。

メッセージ

英語はコミュニケーションの道具にすぎません。様々なグローバル課題に関する知識を深め、その道具を使って世界でグローバル課題の解決に貢献する力を養いませんか?限界は自分で作るもの。果敢に挑戦すること、知らないたくさんの世界や人々との共生を考えること、知らない自分や自分の力を発見すること、ワクワクしませんか。そんな挑戦を自分事のように応援する教員が集まっています!

グローバル共生学科ならではの学びとは?

「共生」というと多様な人々との共生をイメージしませんか。みなさんの知恵が必要なグローバル課題の解決では「国家」がいまだに主要な役割を果たしていて、「国」と「国」との共生も重要です。グローバル共生学科では国内での共生に加えて国家間の共生についても学べます。また、多様な背景をもつ教員や学生と、具体的な問題について学内外で意見を交わしつつ協働(コラボ)し、自由・柔軟に考え、アクティブに行動する機会がたくさんあります。コラボ力は世界でも日本でも社会に出てからも人間関係や関係構築でも大切です。

専門分野

国際安全保障の分野、とくに核不拡散が専門です。核廃絶なんて無理という声をよく耳にします。短期的にはそうかもしれません。でも、簡単には実現しなくても課題を一つ一つ整理して取り組んでいかなければ前進もしないでしょう。核兵器が世界に拡散すれば廃絶も軍縮も難しくなります。新たな国家やテロリストが核兵器を手にしないために、異なる考えを持った国や人々が集まり、どのように国際的な体制や制度を強化していけるか、いくべきかを研究しています。

学科で教えていること

「国」と「国」との共生を念頭に、主に国際ガバナンスに関する科目を担当しています。国際ガバナンス概論は、3年次から始まる専門科目の理解に不可欠な国際関係の基礎的知識を習得する授業です。

専門科目には、グローバルな課題解決に必要な多国間の外交の現状や課題について学ぶ「多国間外交と平和」、さらに国連をはじめとした国際組織の役割や活動について学ぶ「国際組織と国際共生」を担当しています。外交や国際機関等での経験を交えながら、理論と実践の理解を深められるような授業をしています。

担当科目

1年次対象

  • 国際ガバナンス概論(国際関係の基礎)
  • アカデミックスキルズ

3・4年次対象

  • 多国間外交と平和
  • 国際組織と国際共生
  • グローバル共生ゼミナールⅠ~Ⅳ

担当するゼミのテーマ

「平和と共生」を考えるという大きなテーマを掲げて、国家間の共生の現状や課題を学んでいます。国際協力、国際協調、国際連携など国家間の共生と関連する概念はすでにたくさんありますが、あえて共生をテーマとして取り上げる意味は何なのか、どのように「平和」に活かせるのかなどを、さまざまなグローバル課題の事例を通じて考え、議論するゼミです。

国際的な出来事を日々自分事として捉えるため、ニュースや新聞記事を題材に歴史的背景などを踏まえて考察したり、世界の様々な地域の国々、地域に作られた協力の枠組などに目を向け、多様な視点から考える訓練をしています。

また、国際関係の基本的な理論を学び、複数の理論を使って実際に世界で起こっている出来事を解釈し理解する力を養います。なかなか難しくて苦労するのですが、うまく行ったときには「おおっ!」という新たな世界を知ったような喜びがあるのがだいご味です。

そうした基礎力を基に、4年次には学生個人のプロジェクトとして、「グローバル共生」の枠内でテーマを自由に選び、1年をかけて各自が研究をします。

大変だけどやりがいがあり、いい感じのライバル感のある向上心を持った仲間と学び合い、高めあえる楽しさのあるゼミです。

過去の研究テーマ例

  • 米国の地方自治体による核廃絶に向けた取組の意義-カリフォルニア州議会決議を事例として
  • イラン核問題と核不拡散条約(NPT)の課題―原子力の平和利用を中心にー
  • 北朝鮮の核兵器開発問題と六者協議
  • 戦争回避のための国際関係理論分析―台湾海峡ミサイル危機を事例としてー
  • 防災における国際協力の意義―仙台防災枠組みを中心にー
  • コンゴ東部における紛争鉱物問題

主な学術論文

  • 「原子力施設攻撃禁止に関する多国間条約交渉:ジュネーブ軍縮会議における試みと頓挫からの教訓」『名古屋外国語大学論集』第12号、2023年
  • 「『核の巻き返し(Nuclear Rollback)』決定の要因分析:南アフリカを事例として」『国際公共政策』第19号、2006年

主な著書

  • 『ひろしまレポート:核軍縮・核不拡散・核セキュリティを巡る2023年の動向』へいわ創造機構ひろしま(HOPe)2024年(第3章を担当)
  • Hiroshima Report: Evaluation of Achievement in Nuclear Disarmament, Non-Proliferation and Nuclear Security in 2023, Hiroshima Organization for Global Peace (HOPe), 2024(第3章を担当)
  • 「中東の核問題と核不拡散体制:イランおよびイスラエルの核問題を中心として」浅田正彦・戸﨑洋史編『核軍縮不拡散の法と政治』信山社、2008年
  • (共訳)グレアム・アリソン『核テロ:いまそこにある恐怖のシナリオ』日本経済出版、2006年

最も影響を受けた場所

最も影響を受けた場所はニューヨークの国連本部です。世界中から集まった約100名とインターンを経験した場所です。初めて外交官に出会い、多国間外交を目のあたりにし、外交交渉の緊張感と何とも言えない空気感、また多様な国々が集まる中で合意を得ることの難しさを垣間見た場でもありました。多文化の職場はユーモアがあふれるジョークが飛び交う一方で、同じ目標に向かって深い知識に基づき知恵を出し合うプロフェッショナリズムに満ちていて、大きな刺激を受けました。今でも人間関係においてユーモアとコミュニケーションを大切にしています。