教授

ビシュワ・ラズ・カンデル

Bishwa Raj KANDEL

専門:
南アジアの企業経営、国際経営、コーポレート・ガバナンス、ファミリービジネス論

ネパールで生まれ、国立トリブバン大学の経営学部で学位を取得しました。ネパールの地方行政の役員として働いた後、来日しました。その後、日本でインド大手財閥企業の経営構造を分析・研究し、博士号(経済学)を取得しました。2019年に名古屋外国語大学の世界共生学部に赴任し、アジア地域論としてインドのファミリービジネスや、インド企業文化を教えています。また、ゼミではSDGsや南アジアに関する研究活動を行っています。

メッセージ

みなさんは元来、無限に秘めた可能性や潜在的な能力、失敗を恐れない精神を兼ね備えています。これらの能力を刺激して開花させるために、実体験を通して学術的・論理的に考える力を養います。これにより、正しい知識の定着が可能となり、知識の合理的な活用方法が身につけられます。そして、国際的に有能かつ協調性を備えた人材へと成長することができるのです。

既存の知識を磨き上げることを怠らず、グローバル社会に必要とされる人材になれるように楽しく頑張りましょう。

グローバル共生学科ならではの学びとは?

これからの日本社会には、国内外の様々な人と多く付き合い、共生社会に適応する環境の整備が必要です。グローバル共生学科では、そういった環境の整備のための学習を展開しています。たとえば、発展途上国の社会問題や貧困問題について、具体的な例を挙げて理解を深める学習を行っています。また、日本のみならず国際的なビジョンを持って競争に勝ち残る人材を育てることを目指しています。学科には、その実践に向けた地域創生科目のネパール・プログラムなどの体験学習が充実しています。

専門分野

南アジアの企業経営、国際経営、コーポレート・ガバナンス、ファミリービジネス論が専門です。

南アジアにあるネパール出身の私は、ネパールの貧困・低開発の状況を実際に現地で見るにつけ、同国の抱える社会・経済開発分野の問題に関心を持つようになりました。近年、世界的に関心が高いコーポレート・ガバナンスは、発展途上国においても注目されています。日本や世界の多くの大規模な株式会社では、所有と経営が分離しています。しかし、インドの企業の所有と経営はほとんどが一致しており、家族経営および一族経営が一般的な形態です。

そこで、現在の研究課題として、インド型コーポレート・ガバナンスと家族企業を挙げています。日本・韓国・ドイツといった国々には企業集団に関する豊富な資料を基にした研究が多数ありますが、インド財閥を対象とした体系的な企業集団研究はほとんどありません。インド企業についても、社会学的視点や経営史学的視点からの研究は多数残されているのに対し、企業集団研究、コーポレート・ガバナンス研究について、先進国企業を対象としたものに比較し得る研究は、残念ながら、未だ本格的に行われているとは言えません。

そこで、現在の私の研究では、大手インド財閥(TATA、Reliance、Aditya Birla等)についての事例研究を通し、企業経営の現状と問題点や財閥企業における企業統治のあり方を明らかにすることを目的としています。

学科で教えていること

担当科目は、ネットビジネス、エリアスタディーズ応用A(東南アジア・オセアニア)、グローバルマネジメント、多文化マーケティング、ネットビジネスなどです。また、地域創生科目のネパール・プログラムも担当しています。地域創生科目では特に、現場での学びが大切だと考えています。

エリアスタディーズ応用A(東南アジア・オセアニア)では、インドを中心とした南アジア地域の企業文化、財閥、政治、経済、産業について詳しく調べてレポートを書きます。経済成長が著しく、世界のIT企業へ人材輩出を続けるインドをはじめ、各国の文化的、経済的な基礎知識と今後の経済発展のヒントを探ります。

グローバルマネジメントでは、近年、企業を取り巻く環境は激しく変化しつつあります。市場も国境を越え、国際的なビジョンがない企業は厳しい競争に勝ち残ることができません。ここで、国際的な視野を身につけることを目標し、近年企業経営にとって重要な課題となってきているCSR、経営倫理について学習します。

多文化マーケティングでは、多文化共生において多国籍企業が行う様々な経営活動の中で、マーケティングがどのような役割を担っているのかを学びます。また、国際市場でモノを売るにあたって起こる様々な問題を考えていきます。

ネットビジネスでは、経営学の一般的な理論を学びます。国際化が進んだ今日の市場では、課題に対して計画を立てなければ企業競争に勝つことができません。授業では、どこで製品を生産し、どの市場をターゲットしていくのかという課題を中心に考察します。

地域創生科目のネパール・プログラムでは、女性差別や、農村コミュニティの訪問による異文化理解、国が抱える社会問題などをテーマに現地の人々と交流します。これらの文化体験を通して多文化コミュニケーション能力を磨き、多文化共生社会を担うアクティブな人材への成長を促します。

担当科目

1年生対象

  • アカデミック・スキルズ
  • ネットビジネス
  • グローバルマネジメント
  • 世界・日本理解の方法

2年生対象

  • 多文化マーケティング

3・4年生対象

  • エリアスタディーズ応用A(東南アジア・オセアニア)
  • 地域創生科目: ネパール・プログラム
  • グローバル共生ゼミナールI~IV

担当するゼミのテーマ

私のゼミでは、急速にグローバル化している日本企業は、多様な社会・文化を保有する南アジア地域圏に対し、具体的にどのようなビジネスを展開していこうとしているのか、日本の個々の企業・社会・文化を取り上げながら考察することを目標にしています。

世界規模の視野を持ちながらも、地域の文化や慣習に活動を行う考え方、いわゆる「グローカリゼーション」の実現を目指し、「地域社会と国際社会」に焦点を当てて活動しています。ゼミを通して、あらゆる社会で通用するビジネス・スキルを習得できる人材を養成することを目標にしています。

インなゼミ大会入賞(2019)
ゼミ生と卒業式にて(2024)
ゼミの1期生と2年ぶりの食事会(2024)

主な著書

  • 佐久間信夫・小林守編『多国籍企業の理論と戦略』学文社、2024年(「多国籍企業のBOP戦略」を担当)
  • 澤田英司、カンデル・ビシュワ・ラズ(編)『南アジアの社会経済基盤と開発援助』「九州産業大学 産業経営研究所研究叢書 第9巻」九州大学出版会、2021年
  • 田中信弘・木村有里編『新版・ストーリで学ぶマネジメント~組織・社会編』文眞堂、2019年(「新たな資本家とはだれか」を担当)
  • 佐久間信夫編『現代国際経営要論』創成社、2019年(「RCEPとインドの役割」を担当)
  • 佐久間信夫編『コーポレート・ガバナンス改革の国際比較』ミネルヴァ書房、2017年(「インドの会社機関とコーポレート・ガバナンス」を担当)

最も影響を受けた書籍

ダーヤマン・サーマセル・ラナ(訳:佐伯和彦)『白い虎』ブロンズ新社、1987年

1973年にネパール語で初めて出版された歴史的な小説です。その後、英語、フランス語、日本語に翻訳されています。当時のネパール首相であるジャング・バハドゥール・ラナはネパール史上もっとも重要な人物の一人で、100年間のラナ時代の基礎を築いた独裁者です。物語は、ジャング・バハドゥール・ラナが権力を握っていた時期とその死後の時代を背景にしています。この小説は、ジャング・バハドゥール・ラナが宮廷の支配を失い、その息子たちの衰退と甥たちの台頭を描いています。