観光・移住の観点から、地域の活性化を考える

南木曽プログラム

長野県南木曽町で行われる南木曽プログラムでは、人口減少に悩む地方の実態をフィールドで知り、日本社会が抱える構造的な問題を学びます。また、訪日外国人の増加がもたらす地域への影響や課題を探り、日本国内での多文化共生社会のあり方を考えます。

長野県南木曽町は、人口約3800人、面積の94パーセントが森林の自然豊かな歴史ある町です。江戸時代の街並みを保存した妻籠宿には、毎年多くの外国人観光客が訪れます。豊かな自然と観光資源、歴史・文化遺産にめぐまれた南木曽ですが、若者世代の転出や高齢化に伴う人口減少に悩まされています。研修では「観光」と「移住」の2つの側面から、問題の解決にどのようにアプローチできるかを、地元の方々への聞き取り調査を行いながら考えます。

スケジュールの例

事前研修

学内での座学、南木曽での事前合宿

  • 開発、地域開発、PCM(社会調査法)基礎について学ぶ
  • 妻籠の町並み保存と限界集落としての南木曽について学ぶ

実地研修

1日目
町長表敬訪問
2日目
聞き取り調査、愛宕山火祭見学
3日目
聞き取り調査、愛宕山火祭見学
4日目
外国人アンケート実施
5日目
事業のまとめ
6日目
大学および地元での成果報告会

事後研修

  • 実地研修振り返り
  • 大学での成果報告会
  • 合同祭でのポスター展示
  • 2月に地元での報告会とワークショップ

事前研修

事前研修では、まず学内で日本における地方創生の課題やその取り組みについて学習します。「地元学」や「関係人口」といったキーワードを踏まえてじっくり学んだ後、南木曽町を訪れます。南木曽町では、地元の方々にお話を伺いながら、地域の魅力を体感します。

2023年度の事前研修では、妻籠宿とは異なるアプローチで保存・観光促進を行っている奈良井宿にも見学に行きました。また、長野県立大学の学生が地域おこしプロジェクトを行っている王滝村を見学し、県大生とオンラインで交流しました。

南木曽町妻籠宿の歴史を伝える脇本陣奥谷の見学

王滝村にて長野県立大学の学生との交流

実地研修

実地研修では、年度ごとにテーマを設定して、訪日外国人・町民・移住者の方々に聞き取り調査を行います。課題を発掘し、自分たちにできることを考えます。

2023年度は、「外国人観光客をリピーターにつなげるには?」をテーマに、訪日外国人・観光に関する事業に従事する方々に聞き取り調査を行いました。

バスの運行をスムーズにするための取り組みを考え、実施しました。

実地研修の内容の例

  • 妻籠宿と並ぶさらなる魅力の発掘と、観光ルートの提案
  • 移住促進のための、空き家の活用方法の提案(名城大学理工学部建築学科の学生と合同)、住む場所としての南木曽の魅力の発信
  • 空き店舗を活用した事業継承の提案
  • 福沢桃介記念館の案内事業の継承 など

外国人観光客への聞き取りの様子

バスの乗り方や運賃の支払い方法を説明する動画を作成し、バス停に設置したポスターのQRコードを読み取って見られるようにしました。学生たちの取り組みは新聞記事で紹介されました(記事は中日新聞社の許諾を得て転載しています)。

事後研修

事後研修では、研修の振り返りを行い、次年度に引き継ぐ課題を考えます。学内と現地での報告会の準備・実施も事後研修の大切な一部です。また、これまでのプログラムでは、観光・移住促進のためのパンフレットの作成も行いました。南木曽町役場を通じて、関係機関や観光拠点に設置・配布されています。

学生が作成した観光・移住促進のためのパンフレット

名古屋キャンパスで2023年2月に開かれたSDGsフォーラムでのポスタープレゼン用資料を前に。2022年度南木曽プログラム参加者の二人。

過去の報告会資料・ポスター展示の例

報告会の資料には、地域のさまざまな魅力に対する学生自身の驚きが記されています。2021年は、新型コロナウイルスの影響を受け、観光客が激減していました。そのような状況下で、大学生・若者の視点から感じた南木曽町の魅力とは何か、それをどのように発信するのが効果的かを考えました。日帰りでの訪問とオンラインでのミーティングを重ね、 若い世代の観光客をターゲットとしたパンフレット作りに取り組みました。

資料を見る(PDF)

空き家活用の報告会の資料では、現地調査、解決策の提案、パンフレット作成までのプロセスがまとめられています。「空き家」をきっかけに南木曽への移住者を増やしたい!南木曽町をめぐり、地方での暮らしをイメージしながら、実際の空き家で研修を行い、移住を考える人にワクワクしてもらえるような活用方法を考えました。

資料を見る(PDF)

プログラム2年目の研修の成果を、大学祭でのポスター展示用にまとめました。観光客・移住者・地域住民の繋がりを分析し、図に可視化しました。これからの地域活性化を考えていくために町の現状を広い視野で把握することを試みました。

資料を見る(PDF)

南木曽町と名古屋外国語大学は2021年に包括連携協定を結びました。
プログラムは南木曽町役場の協力のもと実施されています。