先住民と移民の共生プロセスから学ぶ

ハワイ・プログラム

研修地のハワイは、中国、日本、ポルトガル、フィリピンなど、多くの国からの移民による多様な民族文化が地域に根付いています。就労を求めてやってきた移民とハワイの先住民との協力が、美しい島々での生活や文化を生み出し、毎年何百万人もの人々が訪れる世界有数の観光地の一つとなっています。しかし、その結果として、土地や歴史、伝統的なハワイ文化までもが喪失しています。

ハワイ・プログラムは、カウアイ島の北岸でおこなわれます。カウアイ島は、彼らのカプナ(祖先)が何千年も前に住んでいた土地で、その復元を目指す現地の人々に協力しますこの地域では、ハワイの他の多くの地域と同様に、外来種やオーバーツーリズムなどの問題により、食料や自然資源を持続的に住民に供給するのが難しくなっています。このプログラムは、かつてハワイ諸島全域で広まっていた風習、食べ物、文化を取り戻すために、カウアイのコミュニティと協力して実施しています。

スケジュールの例

事前研修

学内での座学、神戸での事前合宿

  • 社会調査法の基礎
  • 先住民と移民の歴史
  • 戦争の歴史と平和学習
  • 地域開発としての観光開発の現状と課題
  • 神戸中華街、神戸海外移住と文化の交流センターでの事前合宿

実地研修

1日目
ハワイ先住民のマカハ小学校の子どもたちと交流
2日目
ハワイの食生活と健康について、空軍演習場見学
3日目
農園の手伝いなど
4日目
ハワイ沖縄文化センター、ハワイ出雲大社など見学
5日目
平和研修(パールハーバー、アリゾナ記念館)、ハワイ大学でのワークショップ
6日目
パロロ本願寺で日系人の歴史を学ぶ、農園の手伝い
7日目
ワイキキ観光

事後研修

  • 実地研修振り返り
  • 大学での成果報告会

事前研修

事前研修では、実地研修で行うボランティアや支援活動を通して学ぶサービスラーニングの準備を行います。まず最初のステップとして、活動を行うハワイという地域の背景、例えば、ハワイが観光地になる過程で多くの伝統文化を失ったことなどを学習します。また、多様な文化を持つハワイの歴史だけでなく、カウアイ島でこのプログラムに協力していただく2つのNPO団体、Hui Maka’ainana o Makana と Limahuli Garden についても学びます。これら2つの団体は、カウアイのハエナ地区で伝統的なハワイ文化を復元・維持するために懸命な取り組みを行っています。

実地研修で活動に取り組む地区について学んでいる様子

カウアイ島についてのプレゼンテーションを準備している様子

実地研修

実地研修では現地の2つのNPO団体と一緒に活動を行います。NPO団体Hui Maka’ainana o Makanaの目的は、1000年以上前と同じ姿になるようにハエナ地区を復元し、ハワイのコミュニティにとって持続可能な食料の供給源にすることです。Hui Maka’ainana o Makanaとの活動では、伝統的なハワイの食事において重要な役割を果たすカロ(タロイモ)とウアラ(サツマイモ)の栽培を体験します。土地を整え、カロやウアラを収穫し、それらを持続可能な食料源にするために植え替えをおこないます。もう一つのNPO団体のLimahuli Gardenとの活動では、地元のハワイコミュニティが伝統的な工芸品に使用する材料集めの手伝いをします。

また、実地研修では、ボランティア活動の他にも、カウアイコミュニティカレッジ(KCC)やカワイキニチャータースクール(Kawaikini Charter School)で、ハワイ文化やハワイ語を学び、カウアイの歴史やコミュニティについて理解を深めます。

ロイ(タロイモ畑)でカロ(タロイモ)を収穫する様子

Limahuli Gardenのスタッフが、ハワイ固有の植物を維持する重要性と、カウアイ島における外来種の脅威について説明してくれました。

ハラ(パンダナス)の木の葉を集める学生たち。ハラの木の葉は、バッグや財布のような伝統的なハワイの工芸品を作る際に重宝します。

事後研修

グローバル共生学科の地域創生科目では、すでに終えたボランティア活動の振り返りを、研修の重要なステップとして位置づけています。学生はカウアイ島から戻った後、事後研修をおこない、出会った人々や実施した作業、訪問した数々の土地について話し合います。振り返りのプロセスを通してクリティカルシンキング(批判的思考力)を磨き、より広い視野を持って、ボランティア活動が、支援する人々やコミュニティにどのような利益をもたらすのかへの理解を深めます。

過去の報告会資料の例

2019年春の事後報告会のためのプレゼンテーション資料。

資料を見る(PDF)